「自分が正しい・自分が一番という考えを強く持っていて、批判的な発言が目立つ」「間違いを指摘すると激しく反抗し、普段の不満をぶちまけてくる」「自分が同期のなかでいかに優れているかを先輩たちに主張する」
ざっとあげてこんな人が部下になりました。お客様に対しても上から目線で批判的なのでこっちがヒヤヒヤ。間違いを指摘しても素直に受け入れないので精神的負担マックス。
そんな人格に問題ありの部下ですが、調べてみると自己愛性パーソナリティ障害(Narcissistic Personality Disorder、NPD)の可能性が。この記事では自己愛性パーソナリティ障害の特徴や対処法についてまとめました。
自己愛性パーソナリティ障害の特徴
自己愛性パーソナリティ障害の人は人間関係において大きな問題を抱えがちです。職場のなかで次にあげるような特徴を持つ人がいたら、自己愛性パーソナリティ障害かもしれません。
自己優越感と自己重視
自分自身に過度の自己優越感を持ち、自分を特別で重要だと考えます。もちろん、誰しもある程度の自己肯定感は必要ですが、過度の自己優越感は問題です。自己愛性パーソナリティ障害の人は自分が他人よりも優れていると信じ、賞賛と特別な扱いを期待します。
感情の欠如
他人の感情やニーズに対する共感や理解が乏しく、他人の感情に無関心であることがあります。私の部下も、お客様の会話の真意をくみ取ることができず、ただただ自分の基準で話を進めてしまうため、お客様が置いてきぼりということがよくありました。
承認と称賛の渇望
自己愛性パーソナリティ障害の人は、「褒めて、認めて」と、他人からの承認や称賛を強く求めます。自分の価値を他人の評価に依存し、その評価によって自尊心が支えられているからです。
人間関係の問題
他人との関係において、支配的で優越的な態度を示すことがあり、他人を利用する傾向があります。
私の部下は入社直後にある商品について私に質問してきたことがありましたが、なぜか自分の知識を見せつけようとしてきました。まるで私がものを知らない人かのように私の話を聞こうともせず、自分の話をしようとするのです。
そのような自己愛性パーソナリティ障害の人は友情や愛情を深く築くことが難しいことがあります。私の部下は結婚して子供もいるようですが、どのような家族生活を送っているかはナゾです。
共感性の不足
他人の感情やニーズに対する理解力や共感が不足しており、他人を傷つけたり無視したりすることがあります。
私の部下の場合、同期の欠点をズバズバ指摘していました。もしかしたら相手がよくなってほしいと思ってのことかもしれませんが、誰もそんな指摘を望んでいないですよね。このようなこともあって私の部下はどんどん孤立していきます。
傲慢さと自己中心性
自己愛性パーソナリティ障害の人は傲慢で、他人を軽蔑的に扱うことがあります。さらに、自己中心的な行動が顕著です。
私の部下も「同期のなかで自分が一番だ」ということを、ほかの人を見つけては主張していました。よくもまあそんなこと自分からいえるものですよね。
さらに、ほかの上司が仕事の方法を指摘したときは、「じゃあ自分がやればいいんじゃないですか」と反抗。上司のことも見下していました。
過度な自己顕示欲
成果や成功を過度に誇示し、自分の能力や魅力を強調することがあります。本当にすごいことでも過度に自慢されると嫌気がさしますよね。それほどすごくないことだったら本当にうんざりします。
このように自己愛性パーソナリティ障害の人は、他人との関係に問題を引き起こすことがあります。そのような人と接する私たちは、自己愛性パーソナリティ障害の特徴をしっかり理解し対策を講じる必要があるでしょう。
自己愛性パーソナリティ障害の人の対処法
自己愛性パーソナリティ障害の人と関係を築くことはたしかに簡単ではありません。しかし、職場にいる場合は完全に避けることはできませんよね。状況におうじて以下のアプローチが役立つかもしれません。
自己保護と境界設定
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人との関係では、私たちのがわの「自己保護・自己防衛」が重要です。私たちが自分を守る方法を学ばないと、自己愛性パーソナリティ障害の人に振り回されてしまいます。自分を守る具体的な方法はのちほど紹介します。
共感を示す
自己愛性パーソナリティ障害の人が感情的なサポートを必要とする場合、共感を示すことが効果的です。しかし、過度に譲歩し過ぎないように気をつけてください。
私は誰に対しても寄りそって共感を示すようにしていますが、そのせいか自己愛性パーソナリティ障害の部下からも気に入られるようになりました。それはそれでめんどうなんですけどね……。
コミュニケーションスキルを向上させる
効果的なコミュニケーションスキルを身につけ、お互いにイライラしないような会話を心がけることが大切です。相手を攻撃しないようにしながらも自分の思いをはっきり伝えましょう。
対立を避ける
対立を避け、議論を避けることが賢明な場合があります。自己愛性パーソナリティ障害の人は、批判や非難に過敏に反応することがあるため、対立を避けることで緊張を緩和できます。
問題にしなくていいことであれば、気になってもスルーしたほうがいいかもしれません。どうしても指摘しなければいけないときも、「議論はムダ」と意識して接するのがおすすめです。
自己主張する
自己愛性パーソナリティ障害の人との関係で自分のニーズや感情を適切に伝えることは重要です。相手の反応を心配してすべてを我慢する必要はありません。しかし、攻撃的にならない方法でこちらの意見や気持ちを伝えることが大切です。
専門家の支援を受ける
自己愛性パーソナリティ障害の人との関係に行きづまってしまった場合、専門家のサポートを受けることが役立つ場合があります。会社の電話相談窓口やカウンセリングを検討してみてください。
自己成長
自分自身の成長と健康的な自尊心を維持することは、自己愛性パーソナリティ障害の人との関係においても重要です。
自己愛性パーソナリティ障害の人と接していると、こちらに問題があるかのように勘違いさせられることがあります。自分の価値を他人の評価に依存せず、自己肯定感を高めましょう。
自己愛性パーソナリティ障害のある人との関係はたしかに難しいですが、相手への理解やアプローチの工夫によってよりよい関係を築くことができるでしょう。
自己愛性パーソナリティ障害の人から自分を守る方法
コミュニケーションスキルの向上や自己成長が有効とは書きましたが、自己愛性パーソナリティ障害の人と接するうえでまず大切なのが自分を守ることです。その方法を紹介します。
自分自身を理解する
自己保護の第一歩は、自分自身をよく理解し、自分の感情や限界を認識することです。どのような行動や言動が自分にとってストレスとなるかを把握しておけば、前もって対処したりアフターケアをしたりできます。
境界を設定する
自己愛性パーソナリティ障害の人との関係では、自分の境界を明確に設定することが大切です。どこまで他人があなたの個人的な空間や感情にアクセスできるかを理解しておけば、適度な距離を保ちやすくなります。
断る力を持つ
自己愛性パーソナリティ障害の人からの要求や圧力に対して、可能な場合は「いいえ」と断ることを学びましょう。自己愛性パーソナリティ障害の人は不機嫌になるなどなんとかして自分の主張をとおそうとするかもしれませんが、自分の限界やニーズを優先させることが大切です。
感情を管理する
自分の感情をコントロールし、感情的になりすぎないようにします。自己愛性パーソナリティ障害の人のせいでイライラしたり感情が高まったりした場合、リフレッシュする方法を用意しておくなど、冷静に対処する方法を見つけることが重要です。
支えを求める
自己愛性パーソナリティ障害の人との関係が困難な場合、同僚や上司、友人、家族などのサポートを求めましょう。ときには第三者の相談窓口を利用できます。自己愛性パーソナリティ障害の人と接するなかで苦しんでいても、自分を理解してくれる人たちとのコミュニケーションが支えとなるでしょう。
専門家のサポートを受ける
自分の力だけでは対処できない場合、精神科医やカウンセラーからアドバイスやサポートを受けることもできます。プロの立場から具体的なアドバイスを受けて、自己愛性パーソナリティ障害の人と接しやすくなるかもしれません。
安全な距離を保つ
自己愛性パーソナリティ障害の人との関係が大きな負担となる場合、相手との距離を保つことも検討できます。職場だと思うとおりにはいかないかもしれませんが、担当を変わってもらうなどの方法を上司と相談できます。自己愛性パーソナリティ障害の人と接してこちらのメンタルがやられてしまうよりは、自分の安全と幸福を最優先に考えることが大事です。
自己愛性パーソナリティ障害の人から自分を守る方法をまとめましたが、「なんで自分ばかり我慢しなければいけないの」と思うかもしれません。しかし、自分を知って自分を大事にするよい機会ともいえます。なんとかして自己愛性パーソナリティ障害の人から自分を守る方法を身につけていきましょう。
自己愛性パーソナリティ障害の人とはかかわりたくない
今回は自己愛性パーソナリティ障害の人の特徴や対処法、自分の守り方をまとめました。自己愛性パーソナリティ障害の人の登場によって自分のレベルが上がるというメリットはあるかもしれませんが、本来必要のない負担を経験することになります。
「この人なんか変だな」と思ったら近寄らないのが一番です。もし職場で一緒になってしまったら、今回取り上げた方法で何とか自分を守ってください。
自己愛性パーソナリティ障害についてわかりやすく解説されている本がコチラ。ブックレビューを見るだけでも参考になりますし、理解が深まります。